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まほろ駅前多田便利軒/三浦しをん

便利屋の多田が、居ついちゃった高校時代の同級生・行天と依頼をこなしつつ、幸福の再生を信じるようになるまでの話。
この説明であっているのか分からない……。

まず「まほろ市」ってあのまほろ市か? って疑問が湧いたけど答えはなかった。
祥伝社から文庫で出てる「まほろ市の殺人」シリーズってさ、あれの舞台もまほろ市だよね。偶然?
で、この作品ですが、話が軽いとか薄いとかいう声もあるみたいだけど、アタシはすごくツボだった。
『月魚』が好きな人なら、こういう空気もイケるんじゃなかろうか。
行天の変人振りが行き過ぎてなく絶妙だった。(あくまでアタシにとって)
サバイバーだと知れば、彼の奇矯な振る舞いも許せる……というか、あの現実感のないフワフワしたキャラこそが、行天の、自分の生に対するスタンスなのかなとも解釈できる。
自分の生命とか社会的立場とか金銭とか、普通の人なら胸元に大事に抱えているものを、行天は小指の先に引っ掛けてプラプラさせてる危なっかしさがある。
実際にこんな奴が一緒に住んでたらすごく消耗しそうな気がする。

行天とかルルとか星とか、現実からペラリと剥離した布の上で生きてるようなキャラクタに癒された。
疲れてるんだろうかアタシ。いや実際疲れてますけども。
云ってみりゃお伽話みたいな小説だけど、直木賞とったんだよね。審査員も癒されたかったのかしら。
この作品を「お伽話」と感じさせる世の中って世知辛いわよねえ。

イラストも良かった。てゆーかこの絵がなかったらこんなにハマってなかったかもしれん。
1話扉の行天を見て「秋せつらの雰囲気を持った浪蘭 幻十だ!」って思っちゃったわあ。足サンダルだけどね(笑)

それにしても行天の小指の存在は色っぽかった。
過去、多田のちょっとした悪意によって起こった事故で切り離された小指。
すぐに処置して元通りくっついたけど、今も動きはぎこちなくて血も通いにくい。
多田はそれを負い目に感じていて、行天に強く出られない部分がある。
ラストの「なにかを約束する印のように、小指の根元は白い線で結ばれている」ってとこね、もしコレがくすり指だったら「指輪を模しているに違いない!」って大声で主張したんだけど。惜しい(笑)
このラストの多田と行天って……そういう方向だよね? そう解釈してOKよね? 
少なくとも、しをんさんは怒るまい。

テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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